子宮頸がんワクチンのこと

子宮頸がんワクチンのこと

数年前、同年代の娘を持つ同僚と「子宮頸がんワクチンを打つべきかいなか」で喧嘩になったことがある。

娘にワクチンを接種させなかった私に向かって同僚は言った。

「年間1万人の女性が子宮頸がんにかかっていて、うち3000人が亡くなっているのを知らないのか。

そして、それに対するワクチンがあるのに、なぜ娘に接種させないんだ。

副作用により重大な症状を起こすのはほんのわずかだ。

それすら、本当にワクチンの副作用によるかどうかも分かっていないことなのに。

あなたはおかしい。

間違っている。」

私もデータ業界の端くれにいる身なの、できればデータを示して反論したかったのだが、そのときはデータを調べさえしなかった。

データを調べて有効性を示されるのが怖かったのかもしれない。

副作用で障害が残った事例があるという、データ的には取るに足らないことが私にストップをかけさせた。

もし万が一、娘が副作用で重度の障害が残ったら、と思ったらとてもワクチンを接種させる気持ちにならなかった。

一方で、もし娘が子宮頸がんにかかってしまったらと思うと、それもまた耐えられないような気がしたが、それでもワクチンを接種させる踏ん切りはつかなかった。

 

そうこうしているうちに、世間でも子宮頸がんワクチンに対するネガティブキャンペーンが広がり、ついに政府も接種の「積極的接種」の勧奨をやめ、子宮頸がんの接種率は70%から1%に急落した。

私の中で何かが正当化された気がして、娘にワクチンを接種させなかった罪悪感も少し薄まった。

ところがつい最近、子宮頸(けい)がんワクチンの安全性を発信してきた医師でジャーナリストの村中璃子氏が、日本人で初めて「ジョン・マドックス賞」を受賞し、再び子宮頸がんワクチンが視界に入ってきてザワザワした。

ジョン・マドックス賞受賞スピーチ全文はこちら
https://note.mu/rikomuranaka/n/n64eb122ac396

 

娘は子宮頸がんにかかることなく成人したので、今なら少し冷静に子宮頸がんのデータと向き合える気がする。

あのときの私の決断は正しかったのか???

 

まずは、ワクチン接種推奨派の言い分をみてみた。

以下東京新聞の記事より
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201712/CK2017121902000107.html

<子宮頸がんとワクチン> ヒトパピローマウイルス(HPV)感染で子宮入り口付近にできるがん。日本では20~30代の女性に多く、年間1万人が発症し、3000人が命を落とす。国内で販売されるHPVワクチンは悪性度の高い2つの型のウイルス感染を予防。2013年4月に定期接種となり、12歳から16歳の少女に筋肉注射で3回接種する。体調不良の報告が相次ぎ、同年6月から接種を促すはがきの送付など「積極的勧奨」が差し控えられた。ワクチンは世界130カ国で使われ、米国や豪州は男性にも接種される。

 

さっそくデータにあたってみた。

国立がん研究センターの「がん情報サービス」のサイトに少し古いが2013年のデータがあった。
https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/summary.html

確かに以前同僚が言っていたように、毎年10,520人が発症し、2,656人が死亡している。

ところが、その年齢別構成をみて思わずうーん・・・とうなってしまった。

接種年齢が12歳から16歳なのに対して、10代の女性の罹患数は3人、死亡数は1人なのだ。

「日本では20~30代の女性に多く」と書いてあるが正しくない。

発症のピークは40代で、死亡のピークは実に80代以上だ。

 

2013年 女性の子宮頸がんの罹患と死亡
年齢罹患数死亡数人口罹患率死亡率
0_4202,555,0000.00008%0.00000%
5_9002,618,0000.00000%0.00000%
10_14202,823,0000.00007%0.00000%
15_19312,949,0000.00010%0.00003%
20_243723,022,0000.00122%0.00007%
25_29336123,364,0000.00999%0.00036%
30_34760533,757,0000.02023%0.00141%
35_391,1521214,467,0000.02579%0.00271%
40_441,4431564,779,0000.03019%0.00326%
45_491,1312104,178,0000.02707%0.00503%
50_548702443,863,0000.02252%0.00632%
55_596812143,892,0000.01750%0.00550%
60_649192934,926,0000.01866%0.00595%
65_698232834,516,0000.01822%0.00627%
70_746902124,060,0000.01700%0.00522%
75_795772463,529,0000.01635%0.00697%
80_845062392,874,0000.01761%0.00832%
85+5883703,217,0000.01828%0.01150%
合計10,5202,65665,389,0000.01609%0.00406%

そうなると、接種年齢が12歳から16歳である必然性はどこにあるのだろうか?

先の村中璃子氏自身がジョン・マドックス賞受賞スピーチの中で以下のように言及している。

「2013年4月、子宮頸がんワクチンは日本でも定期接種となった。ところが、それから2か月後、日本政府はこのワクチンを定期接種に定めたまま積極的接種勧奨を「一時的に」差し控えるという奇妙な政策決定を下した。けいれんする、歩けない、記憶力や成績が落ちた、不登校になったなどという訴えが相次いだためだ。

脳波に異常のない「偽発作」に代表されるように、小児科医たちは思春期の子どものこういう症状は、子宮頸がんワクチンが世に現れる前からいくらでも見てきたと言った。厚生労働省の副反応検討部会も、副反応だと訴えられている症状は、ほぼ間違いなく身体表現性のものだろうという評価を下していた。」

 

要するに、子宮頸がんのワクチンを思春期に打つことにより、それが思春期の身体表現性の犯人に仕立て上げられている可能性があるということだ。

たしかに思春期の子供を持つ親なら、子供の身体表現に一度も悩まなかったものはいないだろう。

友達とのトラブルで学校に行きたくなくなって腹痛を訴えたり熱を出したりするなんて日常茶飯事だ。

ちょっとでも変わったことが起こり、そのタイミングがたまたま子宮頸がんワクチンを打ったときであったなら、逆にそれをワクチンのせいだと思いたくなる気持ちも十分わかる。

そこで問いたい。

ワクチンを接種する時期として、なぜ思春期なのだろうか?

10代の発症者は3人しかいないのに。

死亡者は1人しかいないのに。

 

さらにいえば、子宮頸がんワクチンが有効なのは、子宮頸がんのうち50~70%のものだという。

そうなると、ワクチンが有効に働く子宮頸がんの発症は10代では600万人中2人くらいなものだ。

一方、副作用を訴えた人が3000人近くいたという。

なぜ、その時期にワクチンの接種をしなければいけないのか。

 

成人になり、精神的にも身体的にも安定し、自分でいろいろなリスクを判断できるようになってからの接種でも十分間に合うのではないか?

 

そこで、思春期にワクチンを接種する理由について調べてみた。

「子宮頸がん講座」サイトによれば
http://www.cczeropro.jp/kenshin/preventive/injct.html

「子宮頸がんの原因となるHPVは性交渉によって感染するため、初めての性交渉前に子宮頸がん予防ワクチンを接種することが望ましいと考えられています。

最も推奨されているのは、11~14歳の女子への接種ですが(9歳から接種可能)、それ以降でも予防効果が期待できます。
このワクチンはすでに感染している16型、18型のHPVを排除する効果はありませんが、感染している16型、18型のHPVが一度消失した後の再感染を防ぐことはできます。そのため、15歳~45歳の女性へのキャッチアップ(追いかけ)接種が推奨されています。
なお、授乳期間は接種可能ですが、妊娠中は接種を控えてください。」

また、同サイトの子宮頸がんについての説明によれば
http://www.cczeropro.jp/kenshin/knowledge/cause.html

「子宮頸がんの原因のほとんどは、HPV(ヒトパピローマウイルス)というウイルスです。HPVは性交渉によって感染しますが、性交経験のある健康な女性が持っている常在ウイルスで非常に一般的なウイルスです。100種類以上あり、子宮頸がんの発生に関係する「高リスク型」と「低リスク型」に分けられます。子宮頸がんの原因となる「高リスク型」は15種類ほどあり、その代表的なものがHPV16型と18型です。「低リスク型」にはコンジローマなどの原因となるHPV6型と11型などが含まれます。

HPVに感染しても必ずしもがんになるというわけではなく、ほとんどの場合は本人の免疫力によりウイルスは排除されます。子宮頸部の細胞にとどまった場合(持続感染といいます)、子宮頸がんを発症する場合があります。

「がん=中高齢者に多い病気」と考えがちですが、子宮頸がんは性交渉の経験があれば、若い女性であっても、誰にでも発症する可能性があるがんなのです。」

とある。
 
つまり、40歳でも50歳でも接種による予防効果はあるが、性交渉による感染の前に接種するのが効果的だから、最初の性交渉前ということで思春期が選ばれているのだ。
 
ということは、データを見る限り発症の可能性が極めて低い10代での接種の必然性には議論の余地があるということではないだろうか。
 

最近は、ワクチンの有効性の研究も進んできており、再度定期接種の機運も高まっているという。

もちろん、それで救われる命も多いだろう。

薬害等を主張する人もいるが、私は残念ながらその分野に物申すほどの見識は持ち合わせていない。

 

でも、一つだけ言えることがある。

子宮頸がんワクチンは接種年齢を見直してもよいのではないか?

もちろん、今回の考察はネット情報等で得られる限られたデータをもとにしているので、専門家により更なる検討をお願いしたい。

 

娘が16歳のときからの宿題を終えた気分の たまちゃんより

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